新しく購入したVPSにWordPressをインストールするガイド

このガイドは、共有ホスティングには慣れているが、VPSやLinuxコマンドラインに不慣れな初心者向けに設計されています。各ステップを順を追って説明し、各コマンドの目的と機能を解説します。このガイドの最後まで進むと、VPS上で完全に機能するWordPressサイトが動作するようになります。

ステップの概要:

1. VPSにアクセスする

2. サーバーを更新する

3. Webサーバー（Apache）をインストールする

4. PHPをインストールする

5. MySQLをインストールする

6. WordPress用のMySQLデータベースとユーザーを作成する

7. WordPressをダウンロードして設定する

8. WordPress用にApacheを設定する

9. Webブラウザ経由でWordPressのインストールを完了する

10. WordPressサイトにドメイン名を割り当てる

詳細な手順に入る前に、各ステップが何を意味するかを簡単に説明しましょう。まず、SSHを使用してVPSにリモートアクセスする必要があります。SSHはサーバーを管理するための安全なプロトコルです。接続したら、サーバーを更新して最新のセキュリティパッチとソフトウェアアップデートを適用します。次に、WebサーバーであるApacheをインストールします。Apacheは訪問者にウェブサイトのコンテンツを提供します。その後、WordPressが基づいているスクリプト言語であるPHPと、WordPressがデータを保存するために使用するデータベース管理システムであるMySQLをインストールします。次に、WordPress専用のMySQLデータベースとユーザーを作成します。その後、サーバー上でWordPressをダウンロードして設定し、Apacheを設定してWordPressサイトを提供し、最後にWebブラウザ経由でWordPressのインストールを完了します。最後に、新しいWordPressサイトにドメイン名を割り当てる方法を学びます。

ステップ1: VPSにアクセスする

VPSを管理するためには、リモートで接続する必要があります。これにはSSH（Secure Shell）を使用します。SSHはリモートサーバーに安全に接続するためのプロトコルです。LinuxまたはMacを使用している場合は、ターミナルを開くことができます。Windowsユーザーの場合は、PuTTYなどのSSHクライアントが推奨されます。ターミナルまたはSSHクライアントを開いたら、次のコマンドを使用してVPSに接続します:

ssh root@your_vps_ip

ここで、rootはデフォルトの管理者ユーザーであり、your_vps_ipはVPSのIPアドレスに置き換える必要があります。このコマンドはサーバーへの安全な接続を開始し、リモートで管理できるようにします。rootユーザーはLinuxのスーパーユーザーであり、Windowsの管理者と同様に、システム上のすべてのコマンドとファイルに完全にアクセスできます。

ステップ2: サーバーを更新する

サーバーが最新のセキュリティパッチとソフトウェア更新を適用していることを確認することが重要です。Ubuntuを含むLinuxシステムでは、パッケージマネージャーを使用してソフトウェアのインストール、更新、削除を行います。パッケージマネージャーは、リポジトリからソフトウェアパッケージを取得、設定、インストールするプロセスを自動化することで、ソフトウェア管理を簡素化します。

Ubuntuでは、apt（Advanced Package Tool）が使用されるパッケージ管理ツールです。まず、パッケージカタログを更新します:

apt update

apt updateコマンドは、利用可能なパッケージとそのバージョンのカタログを更新し、OSが最新の情報を持っていることを保証します。パッケージカタログを更新した後、インストールされているパッケージをアップグレードします:

apt upgrade -y

apt upgradeコマンドは、システムに現在インストールされているすべてのパッケージの最新バージョンをインストールします。-yオプションは、プロンプトに対して自動的に「yes」と答えるため、手動介入なしでアップグレードプロセスを進めることができます。

ステップ3: Webサーバー（Apache）をインストールする

Webサーバーは、訪問者にウェブサイトのコンテンツを提供するために必要です。Apacheは、その柔軟性、広範なサポート、そして強力なコミュニティにより、最も人気のあるWebサーバーの1つです。NginxやLiteSpeedなどの他のWebサーバーもありますが、Apacheはその豊富なドキュメントと使いやすさから、初心者によく推奨されます。

Apacheをインストールするには、次のコマンドを使用します:

apt install apache2 -y

このコマンドはApacheウェブサーバーをインストールします。インストール後、Apacheを起動し、起動時に自動的に実行されるようにする必要があります:

systemctl start apache2
systemctl enable apache2

systemctlコマンドはシステムサービスを管理するために使用されます。startコマンドはApacheサービスを開始し、enableコマンドはサーバー起動時にApacheが自動的に起動するようにします。

ステップ4: PHPをインストール

PHPはWordPressが構築されているスクリプト言語です。ウェブサイト上で動的なコンテンツを生成するコードを処理します。PHPと必要なモジュールをインストールするには、次のコマンドを使用します:

apt install php libapache2-mod-php php-mysql -y

このコマンドは、主要なPHPパッケージをインストールし、PHPをApacheと統合し（libapache2-mod-php）、PHPがMySQLデータベースと通信できるようにします（php-mysql）。PHPはWordPressを実行するために不可欠であり、サーバーサイドのロジックを処理し、データベースとやり取りしてコンテンツを取得・表示します。

ステップ5: MySQLのインストール

MySQLは、WordPressがデータを保存するために使用するデータベース管理システムです。これにより、ウェブサイトに必要なデータが整理され、アクセスが提供されます。MySQLをインストールするには、次のコマンドを使用します:

apt install mysql-server -y

インストール後、MySQLのセキュリティを強化するために次のコマンドを実行することが重要です:

mysql_secure_installation

このスクリプトは、ルートパスワードの設定、匿名ユーザーの削除、リモートルートログインの禁止、テストデータベースの削除などを行い、MySQLを保護します。これらの手順は、データベースを不正アクセスから保護するために不可欠です。

ステップ6: WordPress用のMySQLデータベースとユーザーの作成

WordPressはデータを保存するためにデータベースを必要とします。データベースとユーザーを作成するには、次のコマンドでMySQLにログインします:

mysql -u root -p

このコマンドは、rootユーザーとしてログインし、rootパスワードの入力を促します。-uオプションはユーザー名を指定し、-pはパスワードの入力を促します。ログインしたら、次のコマンドでデータベースを作成します:

CREATE DATABASE wordpress;

次に、ユーザーを作成し、権限を付与します:

CREATE USER 'wpuser'@'localhost' IDENTIFIED BY 'password';
GRANT ALL PRIVILEGES ON wordpress.* TO 'wpuser'@'localhost';
FLUSH PRIVILEGES;

これらのコマンドは、指定されたパスワードで新しいユーザーwpuserを作成し、wordpressデータベースに対するすべての権限をwpuserに付与し、変更を反映させるために権限テーブルをリロードします。データベースとユーザーの分離は、アクセスとセキュリティの管理に役立ちます。

ステップ7: WordPressのダウンロードと設定

サーバーにWordPressファイルをインストールするには、次のコマンドでウェブルートディレクトリに移動します:

cd /var/www/html

cd コマンドは「change directory」の略で、ファイルシステム内の異なるディレクトリに移動するために使用されます。ウェブルートディレクトリは、ウェブサイトのファイルが保存されている場所です。

WordPress をダウンロードするには次のコマンドを使用します：

wget https://wordpress.org/latest.tar.gz

wget コマンドは、インターネットからファイルをダウンロードするために使用されます。WordPress のアーカイブを解凍するには次のコマンドを使用します：

tar -xvzf latest.tar.gz

tar コマンドは、アーカイブからファイルを解凍するために使用されます。オプション -xvzf は、extract（解凍）、verbose（進捗を表示）、gzip（.gz ファイルを処理）、file（解凍するファイルを指定）を意味します。

WordPress のファイルをウェブルートに移動するには次のコマンドを使用します：

mv wordpress/* .

mv コマンドは、ファイルやディレクトリを移動するために使用されます。ここでは、wordpress ディレクトリ内のすべてのファイルを現在のディレクトリに移動します。

正しいパーミッションを設定するには、次のコマンドを使用します:

chown -R www-data:www-data /var/www/html
chmod -R 755 /var/www/html

chown コマンドはファイルの所有権を変更し、chmod はパーミッションを変更します。-R オプションは、指定されたパス内のすべてのファイルとディレクトリに変更を再帰的に適用します。適切なパーミッションは、セキュリティと機能性にとって重要です。

ステップ 8: WordPress 用に Apache を設定する

Apache が WordPress サイトを正しく提供するようにするために、次のコマンドで WordPress 用の Apache 設定ファイルを作成します:

nano /etc/apache2/sites-available/wordpress.conf

nano コマンドは、ターミナル内でテキストエディタを開きます。次の設定を追加します:

<VirtualHost *:80>
  ServerAdmin admin@example.com
  DocumentRoot /var/www/html
  ServerName example.com
  <Directory /var/www/html>
    Options Indexes FollowSymLinks
    AllowOverride All
    Require all granted
  </Directory>
  ErrorLog ${APACHE_LOG_DIR}/error.log
  CustomLog ${APACHE_LOG_DIR}/access.log combined
</VirtualHost>

example.com をあなたのドメイン名に置き換えてください。設定とリライトモジュールを有効にするには、次のコマンドを実行します:

a2ensite wordpress.conf
a2enmod rewrite
systemctl restart apache2

a2ensite コマンドは指定されたサイト設定を有効にし、a2enmod は指定されたモジュールを有効にします。systemctl restart apache2 でApacheを再起動すると、変更が適用されます。この設定により、ApacheがあなたのWordPressサイトを正しく提供し、URLリライトを処理できるようになります。

ステップ9: Webブラウザ経由でWordPressのインストールを完了する

WordPressのセットアップを完了し、サイトを設定するには、Webブラウザを開いて http://your_domain_or_ip にアクセスします。画面の指示に従って、言語の選択、データベースの詳細（データベース名、ユーザー名、パスワード）の入力、サイトのタイトル、管理者ユーザー名、パスワードの設定など、WordPressのインストールを完了してください。

ステップ10: WordPressサイトにドメイン名を割り当てる

以前のウェブホスティングプロバイダから既にドメイン名を持っている場合、それを新しいVPSにポイントすることができます。これには、ドメインのDNS設定を更新して、VPSのIPアドレスを指すようにする必要があります。以下にその方法を説明します:

ドメインレジストラのウェブサイトにログインする: これはドメイン名を購入した場所です。

DNS設定を見つける: 「DNS管理」、「ネームサーバー管理」、または「高度なDNS」などのオプションを探します。

Aレコードを更新する: VPSのIPアドレスを指すようにAレコードを作成または更新します。Aレコードは次のようになります:

名前: @ (またはドメイン名)
タイプ: A
値: VPSのIPアドレス
TTL: 3600 (またはデフォルト)

変更を保存する: DNSの変更は最大48時間かかる場合がありますが、多くの場合数時間以内に更新されます。

DNSの変更が反映されると、あなたのドメイン名はVPS上の新しいWordPressサイトを指すようになります。これは、ウェブブラウザでドメインにアクセスすることで確認できます。すべてが正しく設定されていれば、あなたのWordPressサイトが表示されるはずです。

まとめ

おめでとうございます！あなたはVPSにWordPressをインストールし、ドメイン名をそれに紐付けることに成功しました。このセットアップは、共有ホスティングと比べてより多くの制御と柔軟性を提供します。これで、WordPressサイトを探索し、カスタマイズし、テーマやプラグインをインストールし、コンテンツの作成を始めることができます。問題が発生したり質問がある場合は、遠慮せずに助けを求めてください。新しいWordPressサイトをお楽しみください！